そもそも歯科治療は、狭く暗い口の中の組織を歯科医師の経験と知識、テクニックによって治療を行っています。
しかし、実際の口の中は非常に死角となっている部分が多く、ミラーなどさまざまな器具を駆使して視野を確保して治療します。
それにしても、虫歯や歯周病などの病気はケースバイケースでどの患者さんの口の中は2人として同じ状態はありません。
そんな歯科治療をできる限り精密に行うことは困難を極めます。
いくら熟練を積んだ歯科医師であっても、確実な治療を行うのは非常に難しいと言えるでしょう。それでも、少しでも治療の精度を高めることを目指して日々の診療に当たっています。
歯科治療を行う目的は、病気の改善と機能の回復、そして再発の防止にあります。つまり、患者さんのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を高めてより健康で快適に日常生活を送るための治療といえます。
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しかし、従来の治療方法には限界がありました。
それを顕著に表しているのが二次う蝕のリスクの高さです。二次う蝕とは、一度治療した歯が再び虫歯になった状態をいいます。
実は、一度治療をして詰め物などを施した歯は、再び虫歯になる確率がぐんと上がることは意外に知られていません。
多くの人が、治療をすればもう虫歯になることはないと思っているのが現状です。
確かに治療をするとさまざまな機能を回復できますが、実際には人間の目では確認できないほどのわずかな詰め物のズレや見落としを避けることができないことが理由の一端となっています。
精密審美歯科とは
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精密審美歯科は、人間の目では見極められないミクロレベルの精度で行う歯科治療をいいます。
そのために、治療の際に顕微鏡やマイクロスコープと呼ばれる拡大鏡を使用します。マイクロスコープは、肉眼で見るより数倍~数十倍程度拡大してみることができます。
これは使用するレンズによって異なりますので、中には複数のマイクロスコープを治療内容で使い分けるドクターもいます。
比較的導入費用が安く抑えられるだけでなく準備も不要で装着するだけなので使い勝手がよく、マイクロスコープを導入する歯科医院は全国的にも増えています。
また、顕微鏡治療は主に外科手術や根管治療など高い精度を必要とする治療に使用されています。
モニターに視野を映し出したり画像を保存することもできるため、実際の状態を患者さん本人にも確認してもらうことができるというメリットがあります。
ただし、顕微鏡やマイクロスコープを使った治療を実際に行うにはテクニックが必要です。
肉眼で見たものと拡大されたものでは感覚が全く違うため、動作の幅にずれが生じるからです。
そのため十分な訓練を受けたドクターでなければ精度の高い治療を行うことはできないといえるでしょう。
精密審美歯科はどんな治療に有効か
精密審美歯科で行う治療は、多方面にわたります。
- 虫歯などの病変の早期発見
- 根管治療(根の治療)
- 歯の形成(削る処置)
- 補綴物(被せ物)
- インプラントなどの外科処置
- 歯周病治療
- 矯正治療
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このようにさまざまな治療に有効です。
中でも根管治療は、どれだけ確実な治療ができたかがその歯の寿命を左右しかねないためマイクロスコープの存在は欠かせません。
また、銀歯やセラミックなどの補綴物(被せ物)ではその精度が非常に重要です。詰めたり被せることの最大のデメリットは、二次う蝕と呼ばれる虫歯です。人工の詰め物の境目のわずかな隙間や段差に細菌が停滞し中へと侵入していくことが大きな原因のひとつです。
そこでミクロレベルでフィットした詰め物を入れることで、二次う蝕のリスクをかなり低下させるといえます。
もちろん、その他の治療においても、治療の成功率を高めるためには今や不可欠といえます。