子供の成長の局面局面において歯ぎしりをする場面というのが出てきます。
逆に言うと歯ぎしりをしないと言うのは何か問題を抱えているのかもしれません。
ここでは子供の成長に合わせて起きる歯ぎしりをその場面ごとに説明しながら、子どもと歯ぎしりの関係というのを考えていきたいと思います。
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子供の歯ぎしりについて
歯ぎしりは、歯が生えたばかりの幼児の頃からみられます。
あんなにかわいくて小さい乳歯が生えてきてまだ間もないというのに、がりがりがりがりとものすごい音をたてて歯ぎしりをするためにお母さんがびっくりして来院されることもあります。
「この子、歯ぎしりがすごいんです!大丈夫でしょうか!?」ご心配される気持ちは痛いほどよくわかります。
でも、ほとんどの場合子どもの歯ぎしりは心配することはありません。
大人の歯ぎしりと違って成長過程で起こる行動の場合がほとんどだからです。
ご存知のように生まれたての赤ちゃんには歯がありません。
はじめは「吸う」という動きが主ですが、徐々に上下左右の動きが複雑に組み合わされた「噛む」という動きをするようになります。そうすると下顎と頭蓋骨は、いつも安定していられる位置を見つける必要があります。
そこで本来あるべき場所を探す行動として歯ぎしりをするとされています。
つまり、どこか落ち着く位置を見つけるべく下顎がさまよっている状態といえばいいでしょうか。
さらにもう少し成長すると、今度は顎が大きくなるにつれて乳歯に隙間が開いてきます。
こういった咬み合わせのバランスの変化を調節するために歯ぎしりをするといわれています。ですから、この時期の歯ぎしりは成長に即した正常な反応だと考えてよいでしょう。
また、それだけでなく歯ぎしりをすることで顎や筋肉の発達を促し鍛えるという効果があります。
成長するにつれていろいろな食べ物を咬み砕くために、顎や筋肉にはしっかりした力が必要になってきます。
歯ぎしりは、こういった力を育む行動の1つでもあるのです。
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ただ、先日幼稚園の検診の際に園長先生に気になる話をお聞きしました。
「最近給食のあとにいつまでも口の中に食べ物を入れたまま飲み込めない子が増えているんですよ。」とのことでした。「何が入っているの?」と聞くと「おやちゃい(お野菜)」「おにく」というのだそうです。
離乳食から一般食への移行がうまくできていないことや、咬む力が充分育っていないことの証ですね。
ハンバーグやカレー、パスタ、スナック菓子などのあまり噛まなくてもいい食べ物が好まれる昨今ですから、食生活から見直しをすることも必要です。
このような子に多く見られるのが、前述の乳歯の隙間ができてこないことです。顎が適切に発達していないため、乳歯がぴったり隙間なく並んだままになってしまいます。
そうすると噛み合わせに変化がないため歯ぎしりもあまりしないということになりますね。
ただし、場合によってはこのような正常な反応ではないこともあります。
例えば、幼稚園や保育園に入園して親からいきなり離されてしまった、あるいは下の子が生まれてかまってもらえず寂しいなどのような環境の変化がストレスとなって歯ぎしりを誘発することがあります。
ですから、急に歯ぎしりをするようになったという場合などは、なにかストレスを感じていないかを疑ってみることも必要です。
また、乳歯と永久歯の交換期にも噛み合わせがアンバランスになり歯ぎしりをすることがあります。
この場合、永久歯が生えそろうにつれて歯ぎしりもなくなるのが一般的です。
子どもの歯ぎしりは、多くの場合成長とともになくなります。
逆にいえば、いつまでも歯ぎしりをやめない子はなにか他の原因も考えられますのでよく検証してみるといいでしょう。
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